雑記ログ集その3 なんか松永さんばっかり ※題字をクリックすると本文が出ます クリック出来ない方はこちら 手負い政宗とお迎え佐助妄想 覚えている範囲を出来る限り手繰り寄せるとどうやら頭を打ったらしいということまでわかる。 小十郎の小言が思い出される。一人で無茶をするな、突出しすぎるな、自重なされ、 「……執着、するな、か」 小言などは政宗にとってしょせん小言以上でも以下でもない。あまり執着なされますと、身を滅ぼしかねませぬぞ、という言葉も、最初政宗にとっては単なる小言であって、よもや今更になってそれが身に染みてこようとは夢にも思わなかった。 政宗は川辺にいる。川辺にいて倒れている。膝だけは水流に浸かり、上半身はまったく脱力して自然の丸石に敷き詰められた地面に仰臥している。そして手負いであった。 吐く息のか細いことが己にもわかる。相当の体力を失っていると見るべきであり、実際身体のどこにも力は入らなかった。ただ青天のみが政宗を呑み込まんばかりにだだっ広く広がっている。川辺ということだけはわかるので、自ずと自身が一体どこにいるのかおおよその見当はついても、動けぬのではなんともならぬ。 死にたい。が、生きようと思う。 己の過失は振り返りたくもなし、それこそ帰って小十郎に苦言を長ったらしく吐かれれば充分である。二度と同じ過ちは繰り返すまい。しかし苦言を聞くためには生きねばならぬ。政宗は動かぬ身体の代わり、ゆるりと右手を握り締めた。 「……くそっ」 鳥がゆらゆらと空を飛んでいる。政宗は時折あれになりたくなる。茫漠たる空を気の向くまま風の向くまま、なにものにも縛られずに飛んでゆけたらどれほどこころ晴れ晴れとするか知れぬ。それが許されぬことを歯がゆく思ったことなどない。今の己を嫌うことなど政宗は自ら許しはしない。 びいどろよりもまだ透明で静かな願望であった。 その鳥が次第に近づいてくるらしいことを政宗は悟った。黒い点だけだったものが徐々にその形をはっきりとしたものにして、絶えずゆらゆらゆれながら、しかし着実に政宗へと迫っていた。 「……天からのお迎えか……?」 力ない声でぽつりと呟くと本当にそうかと思われる。や、しかしそれは困る、俺はさっき生きようと思ったばかりだとぼんやりこころの内で考える。天など終ぞ信じぬ政宗は乾いた笑い声をあげた。 瞑目する。今天に召されるくらいなら閻魔でも菩薩でも殺そうと決意したところだった。 「あーあ、だらしないの」 開目する。 さっきまでの黒い影が眼前に落ちて呆れ顔をしていた。 「……ああ?なんだ、てめェは……」 「なにって、わかってんでしょ?お迎えだよ」 ああ、と感歎し、天の使いが案外気軽であることを知った。 「連れて行け」 言うが早いか、ぐいと身体を引き上げられる。生易しい表現では言い表せぬ痛みが稲妻のごとく四肢を駆け巡った。しかし使いの背は思いのほか温かい。絹かなにかで結われ、離れぬようにされたようだった。 「素直だねえ。喋れないの?一応言っとくけど、一時休戦ってことをお忘れなく。旦那の命で俺はアンタを助けるんだからね。……聞こえてる?」 「ああ。いいから連れて行け、……飛べるんだろう?」 盛大な溜息が聞こえた。政宗はもう目を開けていられぬ。人の温かさにほっとしたのやもしれぬ。 使いは感情を隠さずにやれやれと言った。 「アンタの重さで飛べやしないよ。地べたを張って行くさ」 さても皮肉なことだと思いながら政宗は意識を手放した。しかしまるで最前の黒い鳥になったかのごとくゆらゆら揺られたことだけは覚えている。 松永さん練習文対政宗 「落ちたわ、落ちたわ」 凄まじい爆音の後、久秀は一人喉の奥を震わせて笑っていた。崖の下に落ちた伊達主従をまるで子兎かなにかとでも思っているような、座興染みた笑いであった。 嗚呼、嗚呼、と喚く伊達の兵らが耳障りである。久秀はふと笑うのをやめて、じろりと彼らを一瞥した。罵倒は止まぬ。殺してやると幾度も叫ぶ。くだらぬと思い、久秀は今しがた手に入れたばかりの竜の爪を、彼らを繋ぎ止めている縄へ当てた。 「こんな皮肉はどうかね諸君」 ちりりと焦げるように縄は一糸解れる。 「ひっ」 「やめろっ」 久秀は既に彼らを見てはおらぬ。ぼんやりと虚空の向こうに、蝋燭でも見ているかのようであった。 「これまで卿らを護ってきた爪が卿らを同じ谷へ落としめるのだ。……儚いものだとは思わんかね。同じ爪であるというのに既に意味は違ってしまっている」 誰に話しかけているわけではない。久秀はまた爪を縄に擦らせた。やめろっ、やめろっ、とどうしようもない響きを持つ声だけが空に拡散して消えてゆく。仏様!と一人が叫んだ。久秀は手をぴたと止め、ゆるりと若者を眺めた。 「仏と」 「仏様…っ、お助けを!お助け…!」 「燃ゆる仏など意味はない。縋るならこの爪に縋りたまえよ」 「筆頭を返せっ」 久秀はまたふと笑う。 「儚い儚い。安心したまえ、卿の筆頭は恐らく無事だよ。無論確証は無いがね…やれ、むしろこれは願望かな。このまま易々と手に入るだけの爪なら、最初から欲することなど無かったろう……だから卿らも助けてやろう。しばし、座興に付き合ってもらおうかな。さ……」 今度は愛しいものでも見るような眼差しを崖下へ放った。縛られた若者は呆然として久秀を見つめている。解けた縄の一筋ほども、久秀の言うことを理解できなかったに違いない。 ただ助かるのか知らんと混乱する頭で考えるのみである。 久秀は悠然と言った。まるで自身が消した政宗の姿がそこにありありとあるかのように。 「這い上がってきたまえ政宗。……私は卿らの甘さが嫌うほどにいとおしい」 るる、と空で鳥が鳴いた。 松慶習作 不意に久秀を見かけると、慶次はその身が芯から固まってしまうように思った。さながら氷室へ放り込まれたように。冷たい記憶が意地悪く肌を撫ぜる。 目を奪われてしまうのではない、どうしても視線を離せなくなる。そして大概向こうにも気づかれてしまう。久秀は馬上でふと微笑んだ。慶次は野遊びをしていて泥だらけだった。街道を挟んでの視線の交わりという変化のおかげで、慶次はようやく顔を背ける事に成功した。恥ずかしく思ったのかもしれない。 「来たまえ!」 通りのいい声がさっと田を通り越し、慶次の耳まで届いた。久秀は馬を下りて手招きしていた。 足が竦む。一体これはなんだろうと思う。久秀に敵意のあろうはずはない。慶次はそれなりに、家臣らの横のつながりを信じていた。前田の家名も、口でいうほど軽いものとは思っていなかった。 だから久秀に害はないはずなのである。が、頬を打たれた記憶がまだ生々しい。 夢吉が肩でキキ、と鳴く。彼とは友達になれぬのかと聞かれているようだった。 (友達?……無理だよ。だって人はあたたかいものじゃないか) 彼はあたたかくない。彼は慶次の知る人のこころの形をしていない。 しびれをきらしたのか、ただ遊んでいるだけなのか、久秀はやれやれとでも言いたげに、 「怖いのかね」 と言い放った。 ああ、怖いよ、と言ってしまいたい欲望をぐっとこらえ、慶次は足を踏み出した。ふらりと転びそうだった。ようやく久秀へ近づくと、「もっとこちらへ」と催促されたが、首を振る。途端に久秀はカラと笑った。 「なんて顔をしている?少年、いつもの君らしく笑えばいいじゃないか。私の前ではできぬかね」 「……なんの用だい」 「そんな顔をしても君の友達は帰って来まい」 「なんの用だって言ってるんだ」 「君は私の言葉をなんら汲み取らないようだ。言葉遣いは改めたまえ」 「気に入らないなら……また、ぶつかい」 「望みならね」 「あんたになにも望みやしない」 「そう、残念だ」 残念とは。訝りをすぐ見透かされたものと見える。久秀は、そう、残念。と呟いた。独り言のようである。 「まだ自分しか見えていない君にはわからないかもしれないがね。案外と楽しいものだよ、己の手が、言葉が、人をいかようにも動かす様を見るのは。そう、例えばだ」 久秀はぽんと馬の首を叩いた。まだ若いらしい上等な馬である。 「駿馬だ。こいつがまだ子馬の時分から、鉄砲の音を聴かせる。馬は大きな音を嫌がるものだ。が、どうなると思うね。慣れてしまうものだよ、あのから恐ろしい爆音にも、火薬の臭いにも。そうなった時の飼い主の喜びはひとしおだろう。早く走る上、鉄砲の音にも怯まぬ素晴らしい馬の出来上がりだ」 「………?」 「今君は人を殺すのが怖い」 久秀の眼は怪しく光っている。馬がぶるると顔を震わせた。 「私はそういう甘い少年のままの君を知っている。この世の道理もなにも知らぬ、なにもかも自分の思うとおりにいくと思っている君も。が、これがいかようにも変容する」 「なにを言ってんだ」 「絶望だよ」 じり、と久秀は距離を詰めた。息がひゅっと器官を通り抜ける。 「馬がどうして怯えなくなると思う。絶望するのだよ、逃げられぬ小屋の中、響く不快な音に、最初は反発する。だがそのうち無駄なことだと知る。抗っても無駄なことには、恭順するしかない。馬ですらそれをわかっているのだ。そういうことだよ、少年。君が私に、世の道理に反発するのは」 「そんな、ばかなっ」 は、は、は、と久秀は腹から笑う。 「ではな。なに、私もそうそう君にばかり構っているほど、暇ではない。今日は、運がよかった」 なにっ、と言う間も与えず久秀は軽やかに馬上の人となった。 「素直でない子は、いとおしい。君の友達は、実に素直だった。あれもまた、興ではあるがね」 「ばかな!」 とまた叫ぶ。しかし届く頃にはもう砂塵ばかりが残っていた。 なんとも言えぬ痛みを覚え、腹あたりで着物をぎゅうと握り締めると、こびり付いていた泥がぱらぱらと落ちた。 松慶妄想気味なオリジナル少年+慶次 ほがらかな笑みを零す少年と出会った。農民出でまだ頬が赤い。とても綺麗な顔をしていて、なんとも好ましい転がるような声で、 「私をわかってくださるのは、久秀様だけなのです」 と嬉しげに言った。慶次の顔が、変に曇ったのも気付かぬ様子である。 私は父を殺しました、と少年は続ける。 「気が違ってしまった父の横暴に、母も兄弟たちも限界を覚えていました。加えての飢饉です。どうしようもなかったのです。あのままでは私達は死んでいたのです。生きるためには父を殺すしかありませんでした」 慶次はなにも言わぬ。 「ですが、どんなに憎くとも、…この時代になにを甘いことをと、前田殿のような立派なお侍様には笑われてしまうかとおもいますが、…それでも私の父でした。まだまともなころ、父は父らしく働いていました。それを覚えています。今度は私の気が違うかと思いました。罪の重さに、私はたまらず川原へ飛び出して、そのまま溺れてしまおうかと思いました。そこへ、」 少年の表情はとろりと恍惚のものとなる。信仰者の顔である。 「偶然か必然か、対岸におられたのが久秀様です。後から聞いた話だと、視察がてらに遠乗りを興じておられたのだそうです。久秀様は混乱の私に目をとめられました。思えば私はあの時から久秀様に捕らわれていたのです。慈悲深い仏にも似た眼差しに私はつい足を止めました。死のうと思っていたのに」 「慈悲」 ぽつりと呟かれた言葉に呼応するように、少年は手を組み返した。 「お慈悲。救いです。あの方の言葉は私を罪から救うのです。父を殺し家を飛び出した、こんな私の。私をわかってくださる。そして包んでくださる。久秀様は教えてくださいました」 太陽のようにあたたかで健康的な笑顔がぱっと咲いた。比例して慶次の不安に似た感情がこころを暗澹たるもので覆っていく。あまりに純粋でかえって毒々しい少年の笑顔であった。 「私のしたことは間違っていなかったと」 慶次には想像される。どのような調子で久秀がこの可愛い少年を諭し、篭絡し、手中にしたのか。最初、目に入ったのはおそらくこの少年の容貌であろうと思う。奇妙に艶かしい。当時は混乱と罪悪とで酷く歪んでいたであろうこの顔が久秀の目にどのような対象として映ったのかまではさすがに考えたくない。 そしてこの少年のこころから幸せそうな様子がじくりと慶次の内側を抉る。 少年は苦笑して、はにかんだ。 「すみません、すこし興奮しました。私の話などどうでもよいのです。かくも、久秀様が素晴らしいお方であるとおわかりいただければ……」 わからないね、と無下にしていまおうかと口を開きかけた。 この少年が生きながらえたゆえんをきっぱり否定してしまうだけの勇気が慶次にはない。 「……わかるけど、さ…。なにか、違うよ……」 と、力なく呟くのみである。 「さしでがましいこととは知っていますが……前田様も、久秀様にお会いになればわかります。あの方に愛されることが、どれほどの幸福であるか。私はこの命、久秀様のためなら惜しくもなんともありません」 「命…」 「前田様は織田筋で、出奔していらっしゃる。かかる身の上ならば、お身は自由のはず。せっかくの偶然の同道です、よろしければ、久秀様の御城まで私がご案内仕りまする。久秀様も、歓迎なされるでしょう」 どのような歓迎だというのか。 慶次は少年の頭へぽんと手をやった。少年はぽかんとして巨躯の青年を見上げる。 「悪いけど、坊主の主人にはいつか俺の意志で会いに行くよ。……今はその時じゃない。さ、道も別れる、俺は右へ行こう。話せてよかった」 「ま、前田様」 すっと離れていこうとする慶次に、少年は取りすがるような仕草を見せた。 「久秀様を誤解なされている。あのお方は、世間では将軍殺しの梟雄だの、物欲狂いだの、なにかと悪名ばかり轟いてはおりますが、それは、そう、誤解というもの。世間は誤解を招きまする。あの方の、民を、兵を、人を慈しむお姿を、その目で見ていただければ、きっと……」 「もういい」 明らかな拒絶に、小さな肩がびくりと竦んだ。 「それは、坊主の言葉か、それともあの人の言葉かい?言い含められたか」 一歩、少年から遠ざかって。 「無駄だと伝えておきな。俺は、もう……あんたが知ってる小鳥でいるつもりはない、と。あんたの言葉に、絶望なんかしない。去れっ」 強がりのようである。 また一歩遠ざかり、背を向けると、慶次はもう振り返らなかった。 追いすがる少年の、違います、前田様、前田様!という可憐な声音がしばらくは聞こえていたが、そのうち諦めたかの如く、ぷつりと止んでしまった。 慶次に関心がない松永さん妄想松慶 久方ぶりに会った久秀の姿は、自分の体つきがはっきりと大人になったのに比べ、いささか縮んだように思われた。きちんと整えられた髪に混じる白髪も、一筋増えている気がして、慶次は、再会を随分前から想定していたにも関わらず、なんとも言えない郷愁に心を攫われて、言葉を無くしてしまった。 郷愁とは奇妙なと、こそりと思ってみたところでどうもこの感情はそれ以外に表現しようが無い。 「見事な虎が育ったものだな」 茶を出される。少し型破りな作法だがそれがかえって久秀らしく、ばさら者らしい風体を醸し出していた。虎とは無論慶次のことを指していた。 慶次は久秀の前で正座したまま、黙って茶を貰った。 上等の湯呑をそっと置いて、足を崩し、むっつりと畳の目を見つめた。 「小虎があんたの目には映ってたんだろ。…いや、今だって俺を虎だなんて思っちゃいない」 卑屈になった言い方に、久秀は数年前と変わらぬ笑みを零した。変わらぬ嫌な笑顔である。慶次は、親に対して拗ねた態度を取る、それこそ子供でしかない己の姿を感じて、嫌になりながら、やはり顔を上げることができなかった。 「私は人を過大評価しない」 「あんたは相変わらずなだけだ」 「さてな。君の中身はどうだ、少しは成長したのかね?前田慶次、名前だけは、風の噂によく聞いたものだ」 「……」 「それで?今度は何をしに来た、風来坊」 久秀の目には、なんの興味も映っていなかった。その場に慶次がいながら、ほとんど無感動にその存在を無視しているような、綺麗な拒絶があった。そうしながら言葉だけはすらすら紡ぐその器用さに、慶次はまた沈黙する手段を取ろうかと思った。 一方で思う。やはり久秀は特別な存在なのだと、確信する。 自分の心に根ざすものの一部に、久秀が組み込まれていることを、慶次は否定するつもりはなかった。 ようやく口を開くと声が掠れていた。あまりの無様に、笑い飛ばしたくなった。 「……松永さん」 「なにかね」 久秀の声は甘い。その甘い声が、なんらかの意図を含み始めたような響きをした。名を呼ばれたのが新鮮だったのやもしれぬ。 「…俺は、あんたを、否定しに来た」 口の中が苦い。先ほどの茶のせいであろうが、慶次には、毒がじわじわと効き始めたような錯覚を覚えさせた。ほう、と相槌を打つ久秀は茶器に手をかけ、必要もないであろうに、火に当てた。と思うと、灰の中に放ってしまった。もういらないのだ、と訴えかけるようである。 「松永さん」 「茶器は壊れるのがいい。だからこそ価値がある。……なんだね、続けたまえ」 この時のこの言葉を、少しでも優しさと受け取ってしまったために、慶次は、用意していた次の言葉を、淡々と声に乗せることしかできなかった。 「俺は恋を知った。だけど俺は奪ったりしなかった。あんたが言うように、力を使ったりはしなかった。結局失ったものは、とんでもなくでかかった。でも俺は知った。あんたが言ったことは間違ってる。奪ったって、無意味だ。誰も、俺も、幸せになんかなれやしない。……俺は、あんたのことを憎まない。どうだい、」 ふ、と息を吐く。 「俺は、あんたの言った通りには育たない」 茶器の焼ける鈍い音だけがして、しばらく。 「そうか」 久秀は少し考えた様子である。 「ならば帰りたまえ。私は君に興味が無い」 「…………」 「私が悔しがる様子を見たかったのならそれも結構。……一つ、絶望的な事実を教えてやろう。そしたら帰りなさい。いいね」 まるで赤子に言うように。 「なぜまたここに来たのか、ようく自問するといい。卿は、私から期待を買おうとした」 「きた、い、」 「さあ」 と、帰るよう促す。 「いい子だから。今日はもう疲れてしまってね。なに、どうせ、また、来るのだろう?」 興味の無い瞳は心底つまらなさそうに静かな火を眺めていた。 慶次は否定できない自分を心底不思議に思い絶望しない方法を探していた。 |